気ままな読書ライフ

気ままな読書日記

ナイツ塙の言い訳

2018年、M-1審査員に抜擢された芸人が漫才を徹底解剖。M-1チャンピオンになれなかった塙だからこそ分かる歴代王者のストロングポイント、M-1必勝法、…「ヤホー漫才」誕生秘話まで、”絶対漫才感”の持ち主が存分に吠える。
 
ナイツは大好きな漫才師だし、お笑い番組での露出もトップクラスだ。だけどなんとM-1優勝経験がない。第1期のM-1では08~10年に連続して決勝へ進出したものの涙を飲んだ。
 
チャンピオンが漫才を語るというのならサマになるのだが、そうでない自分が語ると「何をえらそうに言ってるんだ」ということになる。そういう分けで本書は、塙の「負け惜しみ」「言い訳」が書かれているという位置づけだ(笑)。
 
しかし、「負け惜しみ」「言い訳」といいつつ、その中身はよく捉えているなと感心する。それは塙がお笑いに本気だからだろう。
 
歴代のM-1チャンピオンを列記してみる
第1回 中川家
第2回 ますだおかだ
第3回 フットボールアワー
第4回 アンタッチャブル
第5回 ブラックマヨネーズ
第6回 チュートリアル
第7回 サンドウィッチマン
第8回 NON STYLE
第9回 パンクブーブー
第10回 笑い飯
第11回 トレンディエンジェル
第12回 銀シャリ
第13回 とろサーモン
第14回 霜降り明星
 
本書には、このすべてのコンビおよびそれだけでなく、最近の話題の芸人たちについて触れられている。おそらく塙はすべての芸人について触れたいと思ったのではないか。本書でもお笑い全体をアピールしたいという熱意が伝わってくる。
 
全部で90問のQ&A形式。聞き手はノンフィクションライターの中村計氏。どちらかというとスポーツ系のライターだが、塙自身がスポーツ好きとあって話の喩えにもスポーツが出てくるし、M-1が本質的にスポーツの要素を兼ね備えている(塙はM-1の4分間で笑いをとらねばならないシステムを100m走に例えている)こともあり、よい形の編集となっているのではないか。
 
M-1は吉本が投資し、立ち上げた、どちらかというと吉本芸人のための発表会的要素をもってスタートしたとあった。そういうわけでスタートから関西芸人の得意とする「しゃべくり漫才」の色が濃く、そこへ関東芸人が道場破りのように「コント漫才」で切り込んでいくという流れが書かれていて、最近のお笑い傾向を体系的に理解できた気がした(笑)。
 
そういう意味では、非関西系のアンタッチャブルサンドウィッチマンパンクブーブーなどは関東に道を拓いた偉大なコンビなのだ。確かに関西人でも笑えるモノがある。
これを読んでバラエティ番組やお笑い番組を見ると、審査員的な見方になってしまうかもしれない(笑)。

 

 

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