気ままな読書ライフ

気ままな読書日記

司馬遼太郎 リーダーの条件

 

司馬遼太郎 リーダーの条件 (文春新書)

司馬遼太郎 リーダーの条件 (文春新書)

 

 

読みたい本が幾つかたまってきている。しかし、あちこち手を出してしまうと、内容に集中できないので、やはり一本に集中して読み切ってから次の本へ移りたい。今日の通勤本は、本書に決めた。本書は10年くらい前に出た本だけれども、司馬遼太郎の作品について語られた本であるので、内容的な古さはほとんど感じられなかった。

 

まぁ、リーダー論の本ではあるので、当時の政界のリーダーとして「小泉首相」と出てきたところだけは、一昔前を感じずにはいられなかったが(笑)。

 

それにしても、歴史好きが歴史を語りあう本というのは、本当に面白い。お互いの知識をぶつけ合うというのではなく、「司馬遼太郎の作品」という共通テーマを掲げて、それについて語り合っているのである。共通の愛する作家について語り合うのだから、メンバー自身も至福のひと時を過ごしていることになるだろう。

 

最初の座談会では、半藤一利吉田直哉田中直毅関川夏央磯田道史の5人の語らいである。半藤氏が一応は司会者的な役割を担っているように思うが、はやり歴史探偵としては、司会のみに満足しているわけにはいかないようだ(笑)。

 

語り合う対象の人物として登場するのは、はやり幕末が中心となってくるようで、坂本龍馬勝海舟西郷隆盛大久保利通桂小五郎土方歳三高杉晋作大村益次郎河井継之助、そして「坂の上の雲のステージに入って、乃木希典秋山真之について、語り合っているのである。

 

途中、コラムがあり、上記5名の座談会メンバーが自分の好きな「司馬作品の中のリーダー」をそれぞれ5人ずつ挙げている。もちろん、坂本龍馬勝海舟ら、かぶった人選をしている人も当然いるが、5人の選び方はやはりみんな違う。人によって好きなリーダーは異なるということだ。

 

坂の上の雲」から正岡子規の人選がかぶっていることに興味がわく。先日読んだ、俳句の夏井いつき先生の子規の俳句の本で、逆に「坂の上の雲」の子規に触れられていたこともあり、これは非常に興味深い。確かめてみたい。

 

ところで、司馬遼太郎氏に、「最も好きなリーダー」は誰かと誰かが問うた際に、「人それぞれに良いところも悪いところもあり、それぞれであって、選びにくい」というのが答えだったようだが、それが歴史人物を極めてきた司馬遼太郎氏の答えであるというのがうなづける気がする。その答えに対し、磯田氏は「バラエティーが大事というこですね」とさらに抑えにきている。

 

人それぞれ。個性。これが真実なのだろうなと思えた。

先の5人の選び方にも個性が現れるのは、それを裏付けているのだと思える。

歴史は、さまざまな人たちによって編み込まれているのだなと感じる。そういう意味で、たくさんの人物を読んでみたい。そう思えたのは、今日の通勤読書の収穫だ。