引き続き、「司馬遼太郎 リーダーの条件」を読んでる。
本書には、司馬遼太郎という作家や、その作品、その作品に登場する歴史上のリーダー等をめぐって、4つの座談会の内容が収められており、昨日の通勤読書では、2つめの座談会、半藤一利氏、山内昌之氏、磯田道史氏、水木楊氏の4人による「司馬遼太郎が愛した日本人」というテーマの座談会を読んだ。
この中で、水木氏は司馬遼太郎の好きな人物の特徴を4原則として述べていた。
①軽やかで明るい人物
②才気のある人物
③合理的思考にたけた人物
④最後に、ちょっと外れた人間
それを例えて、読売ジャイアンツではなくて阪神タイガース的な人物と語っていた。
なんとなくニュアンスはわかる。がっちり型にはまったエリートではなく、型破りな人物という感じだろうか。もともと司馬さんは関西の人で、関西人にはそういう気質があり、そういう人物に愛着がわくというのはなんとなくわかる。
それに関西人は関西びいきの気質もあり、司馬さんは家康よりも秀吉が好きで、黒田官兵衛、雑賀孫一というような人物を取り上げる。こういうところの座談を読んで、まだ未読の関西人小説を早く読んでみたいなという気持ちがそそられてくる。
いまでこそ坂本龍馬は、幕末の第一の英雄のように扱われているが、本書の座談会のどこかで、司馬さんが坂本龍馬を書くまでは、むしろ主役は桂小五郎で竜馬はあまり知られた存在ではなかったということが書かれていた。「ふ~ん、そうなんだ」と思いながらも、歴史の知識豊富な人たちの座談会のそういうところに引き込まれていく。
それと、もともと新聞記者だった司馬さんが、ニュースのスクープをとるように、それまであまり知られていない人物を取り上げて、その本質を掘り当てて、世に感動を与えるみたいな、作家として、小説家としてのスクープを本能的に求めているというようなことも語られており、そういう話にも「おもしろいなぁ」と感じながら読んでいた。
ともかく、次から次に司馬遼作品の話題が出てくるので、まだまだ未読が多い自分は、この年末年始は司馬遼太郎作品に埋もれようか、などというような妄想が出てきたりしている(笑)。
こんなテーマで語られているのだから面白い以外の何物でもない。
次に手を出したい本が広がる、読書意欲を促進してくれる本であると思う。