介護のお勉強
今年の10月から介護職の資格取得の学校に通っている。初任者研修というコースで、昔のヘルパー2級資格取得相当の研修だ。土日コースに通っているが、土日ともに授業がある週も何週か続き、しかも10:00~17:00までと終日授業があるため、なかなかのハードロードである。
親が介護の年齢となり、介護老人福祉施設(いわゆる特別養護老人ホーム)や、介護老人保健施設(通称「健老」)に入所することとなり、その入所手続きを行ったり、また実際に介護職の方々から様々な介護サービスを受けている。一般のサービス利用者の立場から、介護サービスを見ていたのと、実際に介護職員として業務を行う立場で受ける授業とでは、全く視点が異なる。
介護の関係の書籍も3冊ほど読んだ。
一つは「介護再編」という本。
介護再編 介護職激減の危機をどう乗り越えるか (ディスカヴァー携書)
- 作者:武内 和久,藤田 英明
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2018/08/31
- メディア: 新書
本書の副題には、「介護職激減の危機をどう乗り越えるか」とあるが、その背景には要介護人口の激増という問題がある。本書の帯には、「2025年には介護士が38万人不足!」とも書かれている。
著者は、制度にも詳しく、最新の介護保険制度の解説を踏まえながら、現在の実態や、課題点などを浮き彫りにしてくれていた。介護職員の処遇の問題と利用者のコストの問題は、非常に大きな問題だと感じる。
利用者側からすればなるべく低コストで介護サービスを利用したい。介護の問題は「年金」の問題と類似したところがある。親の年金制度を子の世代が支えているように、親の介護を子の世代が行う。年金の支え手がどんどん減少し、支えての負担が増加傾向にある。同様に、介護にもコストがかかる以上、支えての負担は増加傾向にある。しかも負担が大きいからと言って「や~めた」とは言えないところが過酷である。
一方、介護職員の人数が少ないことから、介護職員の業務的な負担は大きい。人手が足りない=職員一人当たりの労働負担が大きいという構造だ。業務をマルチでこなさねばならない。しかしながら、介護保険制度の財源は乏しく、職員に分配される報酬は少ない。現状の介護職員の報酬は、膨大な業務量をこなしながら全く報いられていないのが現状である。
昨今、介護保険料の増額が予定されているが、そうすると利用者としての負担が急激に大きくなり、これまた負担増の恐怖をもたらすのである。
もう一冊読んだのは、ベテラン介護職員が執筆されたこの本。
利用者の立場から、お世話になっている介護職員の働きぶりに心から感謝の気持ちがわいてくると同時に、これからくる要介護人口がピークを迎える時代に、何か貢献できないものかと考えたりもする。
昨日、ベテランの介護職の方にこのような状況について話をお聞きする機会があったが、さすがに先を見ておられた。団塊の世代が後期高齢者となるに備え、介護人口を増やし、施設を整備するとしても、その先また高齢者人口の減少時代が来ると、今度は準備した人材や設備が余剰となってくることになるとも言われていた。
なるほど、現在の空き家問題と同様のことが起こりうるとも思われる。
難しい問題だけれども、大事な問題であると実感している。