気ままな読書ライフ

気ままな読書日記

「坂の上の雲」第二巻、「列強」の章

 
この3連休、祝日の金曜日にも、この公園の桜を見に行ったが、まだどの木の枝にも爆発寸前の蕾しかなかった。しかし、今日の午後見に行ったら、見事に八分咲きくらいになっていた。待ちに待った美しい季節が到来したというのに、公園には人はまばらだった。
 
しかし、例年のように「桜まつり」が開催されて、多くの人が集まり、カラオケサウンドが鳴り響く公園でなく、こうしてゆっくり歩きながら、桜花の美しさを静かに味わうほうが趣があってよいようにも思う。
 
昨日は、最後の「列強」の章だけ残していた「坂の上の雲」第二巻を読了したので、読書日記を少々。
 
最後の「列強」の章では、日露戦争の前段の模様が描かれている。帝国主義により、英仏に追い付けとアメリカ、そしてロシアの領土拡大意識が高まってくる。
 
日清戦争で、それまで巨獣と意識されていた清国が、死亡寸前の巨獣と化し、周囲の食肉獣(=列強)がその肉を狙いだした。日清戦争での日本の戦利品の一つである遼東半島にロシアが目を付けた。南下政策の妨げとなる日本の遼東半島進出。ロシアは仏独を巻き込んで、「遼東半島を清国へ返還せよ」と干渉してくる。三国干渉である。ついには、その遼東半島満州を勝手にロシアが略奪していくのである。奪ったもの勝ちの帝国主義
 
不凍港を獲得するために南下政策を実行し、シベリア鉄道を完成させた鋼鉄の意思の人・アレクサンドル三世は、満州と朝鮮を除く大陸を制覇した。それを受け継いだのがニコライ二世。性格は父の真逆らしい。
 
そのニコライ二世には、皇子の時に日本を訪れた際に、日本人の巡査から問答無用で切りつけられ大けがを負ったという経緯がある。明らかに当時の日本人も外国から侵略されるという恐怖心や、異敵を撃つという攘夷思想が高じた異常性に侵されつつあった。
それ以来、ニコライ二世は日本人を「猿」呼ばわりした。
 
当然ニコライ二世は、野蛮な猿を滅ぼし、父親が課題として残した満州と朝鮮を獲得し、大陸制覇の偉業を成し遂げたい。日露戦争は彼の時代に起こるべくして起こったと言えるだろう。
 
ところで、興味深く読んだのはロシアの歴史の部分。ロシアの時代区分はピョートル大帝「以前」「以後」と呼ばれることがるらしい。ピョートル大帝というのは、革新的な人物だったようだ。ピョートル大帝以後というのは、日本で言えば「明治維新」といった感じだ。
 
本書の中では、ピョートル大帝は、嶋津斉彬や鍋島閑叟と似ていると述べていた。船に興味を持ち、機械いじりが好きで、船大工となり、航海術を身につけたという。
 
また、西洋に遅れた文明を取り戻すにあたり、見学旅行を企画したという。この辺りは、明治維新岩倉具視大見学団の活動と似ていたと述べられている。
 
陸海軍も手作りでつくったという。
 
ピョートル大帝について書かれた本があるなら、読んで見ると面白いだろうなと思った。ちょっとAmazonで検索してみると、やはりありました。

 

 

 

第二巻は、日清戦争に関する章を除けば、淳さん(秋山真之)と升さん(正岡子規)がそれぞれの分野で磨きをかけていく様子が描かれていた。
 
 
秋山真之は、子規のことをこう言った。
「升さんは、俳句と短歌というものの既成概念をひっくりかえそうとしている」
 
そう語る真之も海軍の既成概念をひっくり返そうとしていた。
 
歌壇革命と日露の関係はどう展開していくのか、次の巻も楽しみである。