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「失敗談」外山滋比古

 

失敗談

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著者が自身の子どもの頃を回想したり、社会人となり編集者として活動されていた時代の話や、中学校の新任教師となったときのことなど、自らの失敗談を面白くかつ赤裸々に紹介されている。どちらかというと頭脳明晰というイメージの著者であるので、そういう著者が語られる失敗談というのは興味深い。

 

中学生の頃の寄宿舎生活時代に、仲間と盗んだ芋で焼き芋をやって、窃盗・放火未遂の罪で、先生からこっぴどく叱られ退学を考えてみたり、新任教師時代に集合場所に遅刻したことが原因で、即刻辞表を書いたりと、なかなか潔いというのか(笑)、外山さんってそんなところがあるのかと思わせるように記述もたくさん登場した。

 

自虐的な話なども交えつつ、失敗こそが成長につながるのだということを訴えていかれる。自らの体験から得られた教訓のお話であるので説得力もある。以下、ちょこっと抜粋。

 

受験
「勝ったからと言って天下を取ったように喜ぶのは幼稚であるし、(中略)落ちたら落ちたで、それなりの誇りをもってもいいのである」

 

競争
「少しひねくれた考え方かもしれないが、力をつけ、競争に勝つには、その前に敗れる目に遭うのが得策である」

 

就職
「世の中思うようにいかないものだという悟りと、失敗したっておたおたすることはないという度胸ができたら思わぬ収穫である」

 

セレンデピティ
「目指すものをとらえることには失敗して、思いがけないものを見つけるのに成功する」

 

転ばぬ先
「転ばぬ先の杖などあるわけがない。転ばぬ先に転んでみなくてはいけないのである」

 

著者の好きな引用
「経験は最良の教師である。ただし、月謝がべらぼうに高い。(トマス・カーライル)」

 

不幸
「不幸は思いがけない土産をもってくることがあるらしい。人生の妙である」

 

シャープ・ペンシル発明の早川徳次さんのエピソードが紹介されていたが、これはこれでまた別に読んで見るのも面白いと思う。