気ままな読書ライフ

気ままな読書日記

「考える訓練」 伊藤真

audio bookで聴読。
法スクールの伊藤塾の塾長。法律の世界は、特に「考える」ことを基本とする世界であるように思えるので、この著者の「考える訓練」というタイトルは興味深く読んでみた(聴いてみた)。

冒頭の「考えるということは、答えを探すこととは違うよ」という指摘になるほどと思った。

現代の情報時代、ネット社会においては、「考えよ」というとネットなどで答えを探しそれを結論とすることが考えることだと勘違いしていることが多いという。考えることはリサーチとは異なるという指摘だ。

誰しも生きていく中で、未知の問題に遭遇することは必ずある。そうしたときに、その問題解決は、結局のところ誰かがやってくれるわけではなく、自己解決せねばならない。その時に、自分の頭で考えて、自分で新しい答えを作り出す力というのが大事だという。

本来の意味での「考える」力を磨くために、どんなことを日ごろから意識し、どのように行動しておれば鍛えられるかのヒントが述べられている。

いくつかの記憶に残った著者の主張のポイント。

①イラツキ、ザワツキを大事にする。
自分と異なる考えに遭遇すると、イラツキ、ザワツキが生じるものだが、そういう時に避けるのではなく、自分と違う考えに触れてみることが大事。

②理由を3つ考えてみよ。
なぜ、なぜ、なぜ。人を説得するときには、理由が一つよりも三つあるほうが、説得の成功率は高まる。

③論理的と理論的は(言葉は似ているが)違う。
理論的は、何かの理論に当てはめること。
論理的は、自分の頭で考えたことの根拠と結論(AだからB)の関係性が明確であること。

④論理的であることの目的2つ
・他人を説得するため(=他人も理解できる→相手の立場にたつ)
・自分が納得するため

⑤IRAC
問題点(=I:イシュー)を、ルール(=R)に当てはめて(A:アプリケーション)、結論付ける(=C:コンクルージョン)。

⑥考えるのやめてみる
すぐに答えが出そうにないもの。一度寝かせてみることで、時間が解決することもある。

⑦決断する
考えるといっても時間は有限。前に進めるためには決断が必要。

⑧想像力を働かせる観点
・鳥の目/虫の目
・自分の視点/他人の視点/第三者の視点
・時間軸や空間軸を動かしてみる

⑨「思う」と「考える」は違う
「思う」というのは偶然、「考える」というのは目指すゴールがある。

などなど。