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気ままな読書日記

「流転の海」第一部を読了

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今日は、会社が休みで、午前中は所用で隣町まで出かけた。

通勤時に読んでいた宮本輝氏の「流転の海」第一部を、帰りの電車の中で読み終えた。

少し前に、宮本輝氏の大河小説である「流転の海」シリーズの第九部・「野の春」の執筆完了で、このシリーズが完結したということを知った。これを機に、書店でもこの第一部が平積みされているところもあり、ブームにのっかって、自分は例によって図書館にリクエストした。

 

「流転」という言葉は、いまgooの辞書を検索してみると、こう説明されていた。

  1. 移り変わってやむことがないこと。「万物は流転する」

  1. 仏語。六道・四生の迷いの生死を繰り返すこと。生まれ変わり死に変わって迷いの世界をさすらうこと。「流転三界中」

 

おそらく宮本氏の小説では、この2番目の意味を意識して書かれているのではないかと感じた。いわゆる六道輪廻というやつだ。生きている間に、様々な出来事に出くわして、苦しんだり、悩んだり、はたまた楽しい思いをしたりと。

 

この小説の主人公・松坂熊吾は、著者宮本輝氏のオヤジをモデルとしたものだ。

従って、第一巻で熊吾が50歳にして初めて授かる自身の子・伸仁とは、宮本輝氏自身のことだ。

 

この本のテーマは何かと考える。

事業家である熊吾が、敗戦後の大阪で事業を再開するシーンから始まるが、その豪胆なキャラで事業を成功に導くというような、いわゆるサクセスストーリーとかではない。もっとどろくさい人間模様の中で、悩み、苦しみながら、流転の人生を生き抜いていく物語という感じだ。この先、この熊吾がどのようなドラマを展開していくのか。

 

大河小説は第九部まで続く。最終巻の「春」という文字がなんとも印象的だ。