気ままな読書ライフ

気ままな読書日記

「歴史と人生」

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いよいよ本格的な夏の到来だ。

昨年末、比較的自然がまだ楽しめる地を選んで引っ越してきて、初めての夏を迎える。

今日は二階の窓から、真っ青な空の中に、モクモクと盛り上がる真っ白な入道雲が美しい。たくさんの緑の木々から、ニイニイゼミの合唱が聞こえる。

 

来週からの夏季休暇を目前に、2階のデスク周りの整備を始めている。

ふだん、通勤で疲れてなかなか2階まで上がってこないが、夏休み2階のデスク周りで、好きな本を読んだり、音楽を聴いたりとしようという魂胆だ。

ここ数か月の間に新たに買った本を、2階のデスクの書庫に移動して、「これ、面白かったなぁ」とか思い出しながら、椅子に座ってパラパラとやっていたら、久々に放ったらかしのブログでも更新してみようという気になった。「気まま」なので。

 

本は、「気まま」に読むのが好きだ。でも、常に本がなきゃだめだ(笑)。

この「歴史と人生」は、通勤の帰路で読む本がなくなってしまい、途中駅の書店で購入した本だ。新書だし、パラパラと目を通すと、著者・半藤一利氏の著書から気の利いたフレーズを抜粋した本であることがすぐに分かった。

 

「時間つぶしにちょうどいいや」くらいに読みだしたが、読むごとになんだか吸い込まれていくような自分がいた。読んでみてわかったが、ただの寄せ集め、キリバリではなく、なんと80冊もの著書の中から編集者によって厳選された文章が、一定の読み物としてつながりを感じながら読めるように編集されていたのだ。

 

読んでわかったが、半藤氏の文章には奥行きが感じられる。豊かな経験と知識を持つ著者の文章というのは、奥行きが感じられる。「あっそう」で終わらず、その文章の奥にあるものまで確かめに行きたくなる。

 

半藤氏は「歴史は人間学」だと言われている。「そこには人間の英知や愚昧、勇気や卑劣、善意と強欲のすべてが書きつなれられている。」などと言われると、無性に歴史が読みたくなってくる。

 

自ら「歴史探偵」と称されているが、それは尊敬する坂口安吾氏の真似であるという。坂口安吾氏が、元祖「歴史探偵」なのであろう。とするとまた、読書量のまだまだ未熟な自分は、坂口安吾の著書を知りたくなってくる。

 

先日、青空文庫という非常にありがたい無料kindle本で、安吾の「堕落論」を読んでみた。「堕落論」というタイトルからすれば、「どうして人は落ちぶれていくのか」というような内容を想像してしまったが、全くそうではなく、終戦直後の人々へ新鮮な価値観を提供するような内容であった。あの時期にこれを自信をもって述べることできた安吾は、鋭く歴史を洞察していたんだなと思う。

 

また、半藤氏をwikiで調べてみたら、義父が夏目漱石本人であるということがわかった。さすがに夏目文学に造詣深く、漱石と同時代の文人にも詳しい。かと、思えば経歴には、松本清張司馬遼太郎の作品の編集に携わっておられたという記載もあった。

誠に奥深い作家さんだなと思い、この本からの広がりを強烈に感じる。

 

しかし、本は「気まま」にいろんな分野、いろんな作家を読みたいものでもある。

だから、胸の中を「読みたい本」だらけにしておいて、また違う本にも手を出してしまう。

 

 

歴史と人生 (幻冬舎新書)

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