古本で「日本を創った12人」を読む
たまたま、ブックオフアプリにたまっていた100円の使用期限が迫っていたときに、ブックオフの店舗前を通りかかったという理由で、この本をポイントでゲットした。どんな本でも無料で入手できるのだからありがたい。
「日本を創った12人」・・・パラパラと立ち読みでページをめくると、12人が誰であるかが列記されていた。著者が選んだ「日本を創った」12人とは、次の12人だった。
聖徳太子、光源氏、源頼朝、織田信長、石田三成、徳川家康、石田梅岩、大久保利通、渋沢栄一、マッカーサー、池田勇人、松下幸之助。
あの堺屋太一さんが、「日本を創った」としてこの12人を選んだのは何故か?ということに興味がわいた。特に、光源氏なんていう実在しない人物まで選択している。徳川家康と石田三成が二人とも入っているのも興味深い。「石田梅岩?誰それ?」と無教養が頭をよぎる。あとのメンバーも、それなりにうなずけるネームバリューではあるが、それにしても「堺屋さんはどういう理由で選んだのか」というのが知りたい。
そういう分けで入手したら、表紙に小さく「後編」とあった。ページをめくると7人めの石田梅岩の章からスタートしているではないか。ありゃ?これは「前編」と「後編」のセットモノであることに、購入後に気付いた。
この名前の列挙を見れば、当然「後編」だけでは中途半端にによる不快感が残る。ということで、Amazonの古書1円(+送料約260円)を投下して「前編」も購入した。
しかし、ともかく古本である。どれくらい古いかとうと、この「前編」がPHP新書のナンバー005で、「後編」がナンバー006なのである。PHP新書の刊行は1996年の10月で、この「前編」の第一刷は1996年11月となっているから、おそらくPHP発刊企画の中に、すでに堺屋太一さんのこの本の出版計画は組み込まれていたのだろう。ちなみに、「後編」の第一刷は翌1997年5月となっている。つまり時期としては、あのバブル崩壊直後、いまから20年以上も前の本だ。
しかし「古いと言っても歴史上の人物を紹介した本なのだから、古いも新しいもないだろう。260円そこそこで日本創設の人物史ゲットは安いものだ」と自分で納得した。読む順番も「後編」→「前編」と遡ることとなる。それも全然ノープロブレム。
最初の石田梅岩の章から読み始めた。江戸・元禄時代の思想家。石門心学の始祖。
ちょうど江戸・元禄期というのはバブリーな時代だったようだ。ところがちょうど江戸のバブルが崩壊し、享保の改革が進められた頃に活躍した人物である。ちょうど出版当時のバブル崩壊直後の情勢と結びつけながら、「勤勉と倹約」という日本人気質を最初に広め定着させた石田梅岩という人物を紹介していく。
確かに日本人気質として、「勤勉」と「倹約」はあると思う。堺屋太一氏は、現代の日本人にDNA的に備わっている資質的なものを創りあげた人物を取り上げていったようだ。つまり今の日本がこうなのは、彼らが各時代に資質的なものを日本人にあるいは日本に定着させていったからだという理屈だ。
石田梅岩: 日本人に「勤勉と倹約」の考えを根付かせた。
大久保利通:日本に「官僚制度」を定着させた。
渋沢栄一:日本的資本主義の始祖。個人主義の岩崎弥太郎と比較しながら、協調主義、合本主義の企業経営を日本に定着させた。財閥、業界団体など。
マッカーサー:敗戦後の日本をゼロからアメリカ的国家として再建した。効率、平和、安全の定着。
池田勇人:「所得倍増計画」による経済大国化への促進。GNP主義、規格型大量生産時代、爆発的な経済成長を日本にもたらした。
松下幸之助:規格型大量生産時代の勝者。貧乏から大成功したジャパニーズドリームの体現で国民的英雄に。終身雇用制や日本的経営を創り出した経営哲学。
確かに2019年の直近までカバーされたものではないにしろ、ほんの20年くらい前までの日本経済や日本文化ができ上ってくる過程を復習することができる。すなわち、飛鳥時代、平安時代、鎌倉時代、戦国時代、江戸時代、近代におけるそれぞれの代表人物を学びつつ、彼らが日本をどう変えてきたかを知ることができるのだ。
まだ、「前編」を読み終えただけだが、「ちょい古」の本であるがゆえに、歴史の学びと、直前の日本の状況の復習という意味で二重の面白さがある。
「前編」で選ばれている人物も興味深いので、引き続き時代を遡って「前編」も読んでみたい。
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